東京の渋谷区が、路上飲酒を一年中禁止する新たな条例を可決しました。この動きは、公共の場での飲酒による問題が増加していることに対する対策として、地域社会からの強い要望に応える形で進められました。条例は、特に夜間の時間帯における路上飲酒を対象としており、渋谷駅周辺のセンター街や宮下公園、円山町などの繁華街を含む広範囲にわたって適用されます。
以前は、ハロウィーンや年越しイベントなど特定の時期に限定して路上飲酒が禁止されていましたが、新条例により、これが年間を通じて拡大されることになります。渋谷区は、2018年のハロウィーンで発生した酒に酔った人々によるトラブルを受けて、2019年に初めて路上飲酒を制限する条例を制定しました。その後も、路上での飲酒によるごみの散乱や騒音問題が続いていたため、区は条例の改正を決定しました。
新条例では、禁止時間帯を午後6時から翌朝5時までとし、違反者に対する罰則は設けられていませんが、警備員によるパトロールが強化される予定です。これにより、区は飲酒によるごみや騒音の問題が解決されることを期待しています。また、外国人観光客を含むすべての人々に対して、条例が周知されることで、路上飲酒そのものが減少することを望んでいます。
この条例は、日本国内で都市部における路上飲酒を通年で禁止する初の事例となります。沖縄県の北谷町や長野県白馬村では、すでに同様の規制が存在していますが、渋谷区のような都市部での全面的な禁止は、これが初めてです。専門家は、このような規制が公共の秩序と安全を守る上で重要なステップであると指摘しています。
清水新二・奈良女子大名誉教授(社会病理学)は、「渋谷の騒動のような路上飲酒はルールを逸脱しており、条例の改正はやむを得ない。マナーを守らなければ、楽しいはずの祭りや共同空間での過ごし方が制限されるというメッセージだ」と述べています。区民や観光客にとって、この条例がどのような影響を及ぼすかは今後の動向を見守る必要がありますが、公共の場でのマナーと秩序を保つための一歩として、多くの人々から支持されています。